全部つくる前に、AIと「一場面」だけ試してみる
やりたいことに必要なスキルを全部身につける前に、AIと一場面を試作。絵本の挿絵を例に、小さく形にして、自分の判断と次の学びにつなげる方法を紹介します。
「いつか、自分の絵本をつくってみたい」
そう思っても、絵の描き方、物語の組み立て方、ページの編集、出版の手順と、必要そうなことを並べるほど遠く感じてしまう場合があります。始める前に、勉強することだけが増えていくんですね。
僕は、必要な能力をすべて身につけるまで、やりたいことを待たせなくてもよいと思っています。AIに助けてもらえる部分を使って、頭の中のアイデアを小さく形にしてみる。形を見てから、次に何を学びたいかを決める順番もあります。
例えば絵本なら、最初から一冊を完成させようとせず、見たい場面を一枚だけつくってみます。
レストランを開く前に、一皿を試すように
仮に、自分らしいレストランを開きたいと考えたとします。内装も全メニューも整うまで、料理を一つも試せないわけではありません。まず一皿つくって、味や盛りつけを確かめると、お店の雰囲気まで想像しやすくなるかもしれません。
創作でも、全体の一部を試すことで分かることがあります。まだ仮につくったものを「試作品」と呼びますが、試作品の役目は、完成品らしく見せることだけではありません。自分が何に惹かれるのか、どんな点が気になるのかを確かめる材料になるんです。
もちろん、AIが絵本の読者の気持ちや作品の良さを保証してくれるわけではありません。料理を味見する役目に当たるのは、まず自分自身。必要に応じて、人にも見てもらいます。
一枚に入れるのは、自分が見てみたい場面
架空の制作例として、「雨の日を少し好きになれる、小鳥の絵本」を考えてみましょう。
最初に決めるのは、ページ数や販売方法より、どんな場面に心が動くかです。雨宿りしていた小鳥が外へ出る瞬間なのか、水たまりに映る空を見つける瞬間なのか。選ぶ場面によって、同じ雨でも伝わるものが変わります。
画像生成に対応したAIへ、例えば次のように伝えます。
「雨の日を少し好きになれる絵本を考えています。試作品として、一場面の挿絵をつくってください。小さな青い鳥が黄色い傘を差し、水たまりに映った空を眺めています。水彩画のような柔らかな絵で、静かだけれど寂しくない雰囲気。色を増やしすぎず、文章を後から置ける余白を上部に残してください。文字は入れません」
絵の専門用語をたくさん知っていなくても、「静かだけれど寂しくない」「色を増やしすぎない」という自分の感覚は伝えられます。僕が考えるパーソナライズには、自分の好みや意図を、制作する場面ごとに共有することも含まれています。
出てきた一枚を、次の選択につなげる
画像ができたら、すぐに残りのページを量産する前に、少し眺めてみます。
小鳥より傘ばかり目立っていないか。雨の日の冷たさが強すぎないか。余白に短い文章を置いたとき、読んでほしい人が見やすそうか。
例えば「雨粒はきれいだけれど、小鳥が悲しそう」と感じたなら、自分がつくりたかったのは悲しい物語ではなかった、と確かめられます。反対に、水たまりの描写から「空を見上げなくても、足元に空がある」という展開を思いつくかもしれません。
AIの出力を眺めているうちに、自分から別のアイデアが出てくる。僕は、そんな使い方にも創作の面白さがあると思っています。出てきた案を全部採用する必要はありません。残したいものを選ぶところに、自分の視点が表れます。
試すうちに「文字の配置を知りたい」と思ったら、そこでレイアウトを学ぶ。「同じ小鳥を続けて描きたい」と思ったら、キャラクターの揃え方を調べる。必要な学びが、具体的な目的と結びついてきます。
小さく試せることと、完成させること
一枚できたからといって、一冊の絵本が完成したわけではありません。複数の絵の統一、文章との関係、使う素材の権利、印刷や配信に適した形式など、仕上げる段階では確かめることがあります。
ただ、何も形になっていない状態と、自分がつくりたい一場面を見られる状態では、次に考えられることが違います。
僕は、学ぶことの価値や楽しさを否定したいわけではありません。学び終わることを、創作を始めるための必須条件にしなくてもよい、ということです。アイデアを持つ人が主導権を持って、AIの支援を使いながら、できる範囲を広げていく。
最初の目標が「絵本を一冊つくる」では大きすぎるなら、「見たかった場面を一枚つくる」まで小さくしてみてください。出来上がった一枚を前にすると、自分が次に試したいことも、少し具体的になります。
自分のアイデアから、作品づくりを始めたい方へ
ワールドブルーAIスタジオのAIクリエイター養成講座では、興味のあるテーマに合わせて、画像や物語などの制作を個別に学べます。作りたいものがまだ決まっていない方も、好きな雰囲気や題材を整理するところから相談できます。
操作を覚えるだけで終わらず、「自分は何をつくってみたいのか」を確かめながら進めたい方に向いた講座です。
AI活用メモ:画像の主役・動き・背景を分けて伝える
Geminiの公式ヘルプでは、画像を頼む際に、画風に加えて、描きたい対象、その動作、背景を具体的に伝える方法が紹介されています。「きれいな絵」だけで頼むより、「小鳥が水たまりを眺めている、雨の町」のように、見たい場面を言葉にすると方向を共有しやすくなります。
利用できる機能は、地域・言語・年齢・アカウントなどの条件によって異なります。詳細はGoogle公式:Geminiで画像を生成・編集するをご覧ください。
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